2023.07.24
数値を正しく認識するということ
IT技術者に限らず数値を正しく認識するということはビジネスにとって重要なことです。
テレビなどで盛んに報道されていたPCR検査の話は格好の材料でしたので先日学生での講義で使わせてもらいました。
まずPCR検査の精度ですが感度90%、特異度99%の検査であることが公表されています。
ここでの感度は感染者が検査を受けて陽性となる確率、特異度は感染していない人が検査を受けて陰性となる確率を表します。
PCR検査の精度は十分に高く1人1人が受ける検査においては信頼が持てる検査となりますが全体として陽性者〇人とカウントされると意味合いが大きく変わります。
例として100万人の無症状者をPCR検査にかけたとしましょう。
熱も咳もない無症状者なので対象者の本当の感染者は千人に一人とします。
結果が100万人×0.01で1000人前後と出れば陽性者の数=感染者の数とみなすことができます。
では実際に計算してみます。
感染者が1000人なので感染者がPCR検査を受けて陽性と判定される人は
1000×0.9(感度90%)=900人
です。
感染者でない人は999,000人ですのでその人たちがPCR検査を受けて陽性と判定される人は
999,000×0.01(特異度99%)=9,990人
となります。
合計すると900+9,990=10,890人です。
本当の感染者は1,000人だったので結果は大きく違ってしまっています。
割合でいうと陽性者のうちわずか8%しか感染者はいないことになります。
このように公開されている情報から実際に計算してみるだけでも陽性者の数と実際の感染者の数が乖離していることがわかります。
PCR検査陽性問題はただ漫然とテレビで流れてくる数値をうのみにするのではなく実際に計算してみて数値を正しく認識しないといけない教訓となる良い材料でした。